RTX 3060Tiのゲーム性能レビュー 4つのCPUで比較
BTOゲーミングPCでよくある以下の構成で、「ゲーム性能」と「クリエイティブ性能」を検証しました。
- Core i7-13700/F+RTX 3060Ti
- Core i7-12700/F+RTX 3060Ti
- Core i5-13400/F+RTX 3060Ti
- Core i5-12400/F+RTX 3060Ti
CPUの違いによるパフォーマンスの差も分かります。
ゲーミングPCの購入や、自作PCの構成を検討している人は参考にしてください。
検証用PCのスペック
OS | Windows 11 Home |
CPU | ・Core i7-13700 ・Core i7-12700F ・Core i5-13400F ・Core i5-12400F |
CPUファン | 空冷式 AINEX SE-224-XTA |
GPU | RTX 3060Ti MSI VENTUS 2X 8G OC |
メモリ | 32GB DDR4-3200 16GB x 2 |
マザーボード | H670チップセット ASRock H670 PG Riptide |
電源 | 850W 80PLUS GOLD |
一般的なBTOゲーミングPCと同じ構成で、特別すごいパーツは使っていません。
クリエイティブ性能チェックのため、メモリを32GBの大盛りにしています。
電源容量はRTX 3060Tiの場合、600WあればOKです。
CPUのPL1消費電力は65Wに設定して計測しました。(BTOパソコンと同じ設定)
テストPCは見た目が違うだけで、BTOパソコンと同じ仕様です!
CPU名の最後にあるF(例:Core i5-13400F)は内蔵GPU機能があるかどうかです。
ゲーミングPCの場合はグラボを積んでいるので、実用上は13400Fと13400に違いはありません。
より詳しい解説は、関連記事を参考にしてください。
CPU性能チェック
赤:優れている
Core i7-13700 | Core i7-12700 | Core i5-13400 | Core i5-12400 | |
---|---|---|---|---|
世代 | 第13 | 第12 | 第13 | 第12 |
Pコア数 | 8 | 8 | 6 | 6 |
Eコア数 | 8 | 4 | 4 | – |
スレッド数 | 24 | 20 | 16 | 12 |
定格クロック | 2.1GHz | 2.1GHz | 2.5GHz | 2.5GHz |
ブーストクロック | 5.2GHz | 4.9GHz | 4.6GHz | 4.4GHz |
L3キャッシュ | 30MB | 25MB | 20MB | 18MB |
熱設計電力 | 65W | 65W | 65W | 65W |
最大消費電力 | 219W | 180W | 148W | 117W |
第13世代のCore i7-13700と13400は、第12世代のCore i7-12700と12400からEコア数、L3キャッシュ容量などを強化したマイナーアップデート版です。
基本設計は第12世代と同じなので、マザーボードもすべてのCPUで同じ物が使えます。(出荷タイミングによってBIOSのアップデートが必要)
第13世代CPUはパワーアップしたけど、フルパワー時の消費電力が上がっているのがデメリットです。
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主要CPU性能の比較グラフです。(2023年2月時点)
ここでは各CPUが全体でどのくらいの順位なのかを、ふ〜んと眺めるだけでOKです。
グラフだけで判断すると、第13世代CPUは第12世代より大幅にパワーアップしてます。
ベンチマークソフトはCPUの性能を100%使い切るかなり意地悪なテストをします。
実際の運用では、このようなCPUの使い方をすることはありません。
特にゲームや普段使いだと、グラボ(GPU)ばかり働いてCPUは暇していることが多いです。
あくまでCPU性能の順番として参考にしてください。
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グラフィック性能チェック
RTX 3060Tiはミドルクラス上位のGPUで、フルHD/WQHD解像度のゲームに強いです。
下位のRTX 3060より性能の上がり幅が良く、上位のRTX 3070とそれほど性能差が無いのがポイント。
実際に使ってみるとかなりパワフルで、PS5などのゲーム機よりも高いパフォーマンスで遊べます。
特に「レイトレーシング」と「DLSS」の能力が素晴らしく、実際のゲームプレイではライバルのRadeon RX 6700XTより圧倒的に優れたゲーム体験が可能。
4K解像度でゲームをしたい!っていう人以外なら十分すぎる性能です。
より詳しいGPUの解説は、関連記事も参考にしてください。
レイトレーシングについて
光と影の表現力を上げてリアルな描写を可能にする機能です。
対応したゲームなら表現力が格段に上がって美しい映像になりますが、フレームレートは半分くらいに落ちるのがデメリット。
競技性の高いFPSゲームよりもアクションアドベンチャーのような美麗な映像をまったり楽しむゲームに向いた機能です。
DLSSについて
DLSSはAI技術を使ってフレームレートをブーストする機能です。
低解像度の映像を高解像度にアップスケールする仕組みで、理論上は画質を少し犠牲にしますが、ほとんどの人は気にならないと思います。
DLSSはNVIDIAのスーパーコンピューターを利用して、常にAIモデルのチューニングがされています。
最新のAIモデルはGeForce Game Readyドライバーを通して配信され、時間が経つごとにパフォーマンスが向上していく優れた機能です。
レイトレーシングと組み合わせれば、弱点であるフレームレートの減少も抑えることが可能。
DLSSに対応したゲームなら、基本的に有効にすることをおすすめします。
※ゲームによってはデフォルトでDLSS ONになっていることもあり
ゲーム性能チェック
以下のゲームをテストしました。
- 【軽量級】VALORANT
- 【軽量級】レインボーシックス・シージ
- 【中量級】Apex Legends
- 【重量級】Forza Horizon 5
- 【重量級】アサシンクリードヴァルハラ
- 【重量級】サイバーパンク2077
- 【重量級】Marvel’s Spider-Man Remastered
快適にゲームを遊ぶフレームレートの目安は、こちらの表を参考にしてください↓
ゲームの重さ | タイトル例 | 快適に遊べる目安 |
---|---|---|
軽量級 | レインボーシックス・シージ VALORANTなど | 120fps〜 |
中量級 | Apex Legends オーバーウォッチ2 フォートナイト(DX11)など 多くのFPSゲーム | 120fps〜 |
重量級 | アサシンクリード ヴァルハラ サイバーパンク 2077など 多くのオープンワールドゲーム | 60fps〜 |
最近のゲームはグラフィックスに凝ったものが多いので、基本的に重量級が快適に動作するPCを選ぶのがおすすめ。
【軽量級】VALORANT
- 【画質】デフォルト
屋外射撃場で銃を乱射しながら移動した時の平均フレームレート
十分すぎる性能です。
このゲームだけを楽しむなら、もっと低いスペックのPCで十分だと思います。
軽いゲームはGPUの負荷が少ないので、CPUパワーの差がハッキリ出ます。
ただし、2023年2月時点では、フルHD/400fpsや4K/200fpsとか表示できるモニターが存在しないので、実用上はCore i5-12400で十分です。
【軽量級】レインボーシックス シージ
- 【画質】最高
ゲーム内のベンチマークモードで計測
十分すぎる性能!ヌルヌル動きます。
プロゲーマーも納得の性能です。
こちらもフルHDはGPUの負荷が少ないので、CPUがよく働きます。
とはいえ、4K/200fpsとか表示できるモニターは無いのでCore i5-12400で十分です。
【中量級】Apex Legends
- 【画質】デフォルト(テクスチャ極など、ほぼ最高設定)
射撃場の固定ルートを30秒間走りまくった平均フレームレートを計測
※実際のマッチでは少しフレームレートが落ちます。
中量級ゲームの代表であるApex Legendsは、フルHDだと200fpsに近い数字がでます。
画質を調節すれば240fpsも狙えるので、フルHD/240Hzモニターと相性が良いです。
その他の中量級ゲームとしては、次のようなものがあります。
- オーバーウォッチ2
- PUBG
- フォートナイト(DX11モード)
∟ DX12モードは重量級
競技性の高いFPSゲームをコスパ良く楽しみたい人に最適です。
CPUの違いによるフレームレートの差は、誤差レベルだと思います。
中量級以上のゲームになるとグラフィックスも凝っているので、CPU 30〜50%、GPU 100%の使用率で動作します。
ほとんどGPUが仕事するので、CPU性能の差は出にくいですね。
【重量級】Forza Horizon 5
- 【画質】高/エクストリーム
- 【DLSS】ON
ゲーム内のベンチマークモードで計測
レイトレーシングとDLSSに対応したオープンワールドレースゲームです。
画質【高】と【エクストリーム】でチェックしました。
タブを切り替えて結果を見てください↓
画質プリセットを「高」にすると、レイトレーシングの品質は【中】になります。
特に画質が落ちている感じはしないので、パフォーマンス重視ならこの設定がおすすめ。
4Kまで快適に遊べます。
画質【高】GPUの負荷が少ないフルHDでCPUパワーが影響してますが、どのCPUでも快適に遊べます。
画質【エクストリーム】GPUの負荷が高いので、CPUが暇してます。誤差レベル。
【重量級】サイバーパンク 2077
- 【画質】ウルトラ/RTウルトラ
- 【DLSS】ON
ゲーム内のベンチマークモードで計測
こちらもレイトレーシングとDLSSに対応した有名な激重ゲームです。
レイトレーシングOFFの「ウルトラ画質」と、ONの「RTウルトラ画質」をチェックしました。
また、DLSSの強度をMAXにした「DLSSウルトラ画質」も計測したので参考にしてください。
フルHDとWQHDなら十分なフレームレートです。
個人的にこのゲームはレイトレーシングの効果がイマイチ分かりにくいと思います。
レイトレーシングを使わなくても十分キレイなので、RTX 3060Tiならこの設定がおすすめ。
誤差レベルです
【重量級】アサシンクリード・ヴァルハラ
- 【画質】高/最高
ゲーム内のベンチマークモードで計測
このゲームはレイトレーシングとDLSSに対応していません。(AMD FSRには対応)
レイトレ/DLSSに対応していない超重いゲームは、大体このくらいで遊べるという目安にしてください。
画質プリセット【高】と【最高】で計測しました。
フルHD/WQHDで快適に遊べるフレームレートです。
画質は「高」でも十分キレイです。この設定がおすすめ。
誤差レベルです
【重量級】Marvel’s Spider-Man Remastered
- 【画質】非常に高い
- 【DLSS】ON
固定ルートを30秒間飛び回った平均フレームレートを計測
このゲームもレイトレーシングとDLSSに対応した重めのタイトルです。
画質「非常に高い」で、レイトレーシングON/OFFを計測しました。
4Kまで快適に遊べるフレームレートです。
このゲームはレイトレーシングの効果が良くわかるので、なるべくレイトレONがおすすめ。
誤差レベルです
クリエイティブ性能チェック
動画編集と写真編集の能力をチェックしました。
Premiere Pro
4Kで撮影した10分間の動画を編集して、フルHDと4Kにエンコードした時の処理時間です。
レンダラーは「GPUアクセラレーション(CUDA)」を使用。
※ソフトウェアレンダリング(CPUエンコード)にすると、Core i7-13700で25分、Core i5-12400で26分もかかります
どのCPUの組み合わせでも、10分の実時間より早くエンコードができるので快適です。
4Kエンコードは、ほぼGPUが処理するのでほとんど差が出ないです。
フルHDエンコードだとGPUの負荷が少なくなってCPUパワーの差が出ます。
Core i5-13400の速度が良い感じです。
RAW現像
Lightroom Classicを使って有効画素数2010万(SONY RX10M4)のRAWデータ100枚を現像しました。
サクサク処理できます。
書き出し条件はこちらです↓
画像形式 | JPEG |
画質 | 100% |
解像度 | 350px/インチ |
こういった処理はCore i7の方が強いですね。
さすがに最上位のi7-13700が一番良いスコアです。
ただ、5枚程度だったらどのCPUでも瞬きしている間に処理が終わります。
Core i7とCore i5どっち?
ゲームだとほとんどGPUが仕事をするので、Core i7とCore i5の差は出にくいです。
ゲーム中のCPU/GPUの使用率を見てみると、このようになります↓
Core i7-13700/12700
タップして拡大
Core i5-13400/12400
タップして拡大
ゲームのパフォーマンスはほぼ同じですが、Core i7は余裕があります。
ライブ配信など、ゲームの他に複数のアプリを動かす人はCore i7がおすすめ。
逆に、ゲームと普段使いだけならCore i5で十分です。
また、第13世代と第12世代は基本設計が同じなので、ぶっちぎりに第13世代のパフォーマンスが良いわけではないです。
自分の利用目的に合わせてお好みで選んでください。
RTX 3060Tiの構成まとめ
まとめると、こんな感じです↓
RTX 3060Tiまとめ
- フルHD/WQHD>問題なし
- 4K>画質を調節すればOK
- レイトレーシング>ゲームによって画質の調整が必要
CPUまとめ
- ゲームパフォーマンスは変わらない
- 第12世代がコスパ良くておすすめ
GPUのRTX 3060Tiについては、人気のFPSゲームをやり込みたい人に最適。
オープンワールド系のアクションゲームが好きな人にもおすすめです。
CPUについては、基本的に新しい方が良いです。
ただし、「第13世代」と「第12世代」の体感差はゲームだと「まったく」ありません。
新CPUの恩恵は、主にRAW現像や一部のレンダリング系など、クリエイティブ処理に活きているようです。
すでに第12世代CPUを使用している人は、アップグレードする必要はないでしょう。
BTOパソコンだと「Core i5-12400F+RTX 3060Tiモデル」の価格が安く、たまに大幅値引きのセール品も見かけます。
コスパ優先なら12400モデルで十分すぎる性能です。
以上、参考になれば幸いです。
おすすめゲーミングPC 早見表
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価格 | GPU | CPU | メモリ | ストレージ | メーカー |
---|---|---|---|---|---|
112800円 | RTX 3050 | Core i5-12400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
135800円 | RTX 3060 | Core i5-12400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
149800円 | RTX 3060Ti | Core i5-12400 | 16GB | 500GB | PC工房 |
150660円 | RTX 3060 | Core i7-12700F | 16GB | 1TB | HP OMEN |
158800円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
162800円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
189800円 セットモデル | RTX 3060 | Core i5-12400F | 16GB | 500GB (爆速) | マウス |
199800円 | RTX 3070 | Core i7-12700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
205460円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 1TB (爆速) | サイコム |
225060円 | RTX 3070 | Core i7-12700K | 16GB | 1TB (爆速) | HP OMEN |
236800円 | RTX 4070Ti | Ryzen 7 5700X | 32GB | 1TB | フロンティア |
239800円 | RTX 4070Ti | Ryzen 7 5700X | 32GB | 1TB | ストーム |
249800円 セットモデル | RTX 3070 | Core i7-12700F | 16GB | 500GB (爆速) | マウス |
255800円 | RTX 4070Ti | Core i7-12700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
272800円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
279800円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
282000円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700 | 32GB | 1TB | ストーム |