RTX 3070とRyzen 7 5700Xのゲーム性能レビュー
CPUにRyzen 7 5700Xと、GPUにRTX 3070を組み合わせた構成で「ゲーム性能」と「クリエイティブ性能」を検証しました。
Core i7-12700を使用した環境と比較もしていますので、CPUの違いによるパフォーマンスの差も分かります。
ゲーミングPCの購入や、自作PCの構成を検討している人は参考にしてください。
※Core iシリーズ+RTX 3070の検証環境と結果については関連記事をチェック↓
検証用PCのスペック
OS | Windows 11 Home |
CPU | Ryzen 7 5700X |
CPUファン | 空冷式 Scythe 虎徹 MarkⅡ |
GPU | RTX 3070 Palit GameRock OC |
メモリ | 32GB DDR4-3200 16GB x 2 |
マザーボード | X570チップセット MPG X570 GAMING PLUS |
電源 | 750W 80PLUS GOLD |
一般的なBTOゲーミングPCと同じ構成で、特別すごいパーツは使っていません。
マザーボードのチップセットはB550がおすすめ。(X570はちょっとオーバースペック)
クリエイティブ性能チェックのため、メモリを32GBの大盛りにしています。
電源容量はRTX 3070の場合、650WあればOKです。
テストPCは見た目が違うだけで、BTOパソコンと同じ仕様です!
CPU性能チェック|Ryzen 7 5700X
タップして拡大
主要CPU性能の比較グラフです。(2023年2月時点)
Ryzen 7 5700XはAMD Zen3世代のCPUで、ライバルはIntel 第12世代のCore i7-12700になります。
ここでは各CPUが全体でどのくらいの順位なのかを、ふ〜んと眺めるだけでOKです。
グラフだけで判断すると、Ryzen 7 5700XはライバルのCore i7シリーズよりも性能が低いです。
ベンチマークソフトはCPUの性能を100%使い切るかなり意地悪なテストをします。
実際の運用では、このようなCPUの使い方をすることはありません。
特にゲームや普段使いだと、グラボ(GPU)ばかり働いてCPUは暇していることが多いです。
あくまでCPU性能の順番として参考にしてください。
タップして拡大
赤:優れている
Ryzen 7 5700X | Core i7-12700 | |
---|---|---|
発売日 | 2022年4月 | 2022年1月 |
世代 | Zen 3 (最新はZen 4) | 第12 (最新は第13) |
Pコア数 | 8 | 8 |
Eコア数 | – | 4 |
スレッド数 | 16 | 20 |
定格クロック | 3.4GHz | 2.1GHz |
ブーストクロック | 4.6GHz | 4.9GHz |
L3キャッシュ | 32MB | 25MB |
熱設計電力 | 65W | 65W |
Core i7-12700は、Pコア(パフォーマンスコア)とEコア(高効率コア)のハイブリッド式になっていて、かなり完成度の高いCPUです。
一方で、RyzenシリーズはPコアだけで構成されているのが弱みですが、実際のところゲームだとPコアが中心に働くので、コア数はあまり問題ではありません。
また、キャッシュメモリ容量がRyzenの方が多く、処理内容によってはCore i7と同等のパフォーマンスで動作するのもメリットです。
Ryzen 7 5700Xはすでに世代の古いCPUですが、価格の安さが最大のポイント。
マザーボードとメモリもコスパの良い製品が使えるので、PCを構成するパーツコストをかなり抑えられます。
デメリットとしてはZen3世代はモデル末期なため、Zen4世代のCPUに乗り換えるにはマザーボードとメモリを丸っと交換しなくてはいけません。
自作PCのようにパーツを入れ替えながら使う人でなければ非常にコスパが良く、海外ではいまだにZen4よりもZen3に人気があるようです。(2023年2月時点)
※インテル第12世代/第13世代のプラットフォームは2023年末〜2024年初頭に世代交代すると思われます。Zen3と1年ほどしか差はなく、PCは一度買うと数年は使うものなので、世代交代に必ず遭遇します。末期モデルは安くなるのがメリット。
BTOパソコンならCore i7-12700モデルより平均して2万円以上も安く、コスパ重視の人におすすめです。
グラフィック性能チェック
RTX 3070は新型のRTX 40XXシリーズ登場によって、ハイクラス→ミドルハイクラスに格下げされました。
とはいえ、PS5などのゲーム機と比較するのが可哀想なくらいパワフルです。
フルHD/WQHDは高いフレームレートが出せるので、競技性の高いFPSゲームに最適。
4Kだと競技性の低いアクションゲームなら十分に遊べる性能です。
特に「レイトレーシング」と「DLSS」の機能が優秀。リアルな映像でヌルヌル動くゲーム体験ができます。
レイトレーシングについて
光と影の表現力を上げてリアルな描写を可能にする機能です。
対応したゲームなら表現力が格段に上がって美しい映像になりますが、フレームレートがかなり落ちるのがデメリット。
競技性の高いFPSゲームよりもアクションアドベンチャーのような美麗な映像をまったり楽しむゲームに向いた機能です。
DLSSについて
DLSSはAI技術を使ってフレームレートをブーストする機能です。
低解像度の映像を高解像度にアップスケールする仕組みで、理論上は画質を少し犠牲にしますが、ほとんどの人は気にならないと思います。
DLSSはNVIDIAのスーパーコンピューターを利用して、常にAIモデルのチューニングがされています。
最新のAIモデルはGeForce Game Readyドライバーを通して配信され、時間が経つごとにパフォーマンスが向上していく優れた機能です。
レイトレーシングと組み合わせれば、弱点であるフレームレートの減少も抑えることが可能。
DLSSに対応したゲームなら、基本的に有効にすることをおすすめします。
※ゲームによってはデフォルトでDLSS ONになっていることもあり
ゲーム性能チェック
以下のゲームをテストしました。
- 【中量級】Apex Legends
- 【重量級】Forza Horizon 5
- 【重量級】アサシンクリードヴァルハラ
- 【重量級】サイバーパンク2077
- 【重量級】Marvel’s Spider-Man Remastered
人気のe-Sportsタイトルである「レインボーシックス シージ」や「VALORANT」などの軽量級ゲームは、RTX 3070だとフルHDで350〜400fps以上、4Kでも200fpsオーバーなので調査から外しました。
快適にゲームを遊ぶフレームレートの目安は、こちらの表を参考にしてください↓
ゲームの重さ | タイトル例 | 快適に遊べる目安 |
---|---|---|
軽量級 | レインボーシックス・シージ VALORANTなど | 120fps〜 |
中量級 | Apex Legends オーバーウォッチ2 フォートナイト(DX11)など 多くのFPSゲーム | 120fps〜 |
重量級 | アサシンクリード ヴァルハラ サイバーパンク 2077など 多くのオープンワールドゲーム | 60fps〜 |
最近のゲームはグラフィックスに凝ったものが多いので、基本的に重量級が快適に動作するPCを選ぶのがおすすめ。
【中量級】Apex Legends
- 【画質】デフォルト(テクスチャ極など、ほぼ最高設定)
射撃場の固定ルートを30秒間走りまくった平均フレームレートを計測
※実際のマッチでは少しフレームレートが落ちます。
中量級ゲームの代表であるApex Legendsは、フルHDだと180fps以上を余裕で維持できる性能です。
その他の中量級ゲームとしては、次のようなものがあります。
- オーバーウォッチ2
- PUBG
- フォートナイト(DX11モード)
∟ DX12モードは重量級
競技性の高いFPSゲームをガッツリやり込みたい人に最適です。
ほぼ同じ。
ほぼGPUのRTX 3070が仕事をするのでCPU性能の差は出にくいですね。
【重量級】Forza Horizon 5
- 【画質】高/エクストリーム
- 【レイトレーシング】ON
- 【DLSS】ON
ゲーム内のベンチマークモードで計測
レイトレーシングとDLSSに対応したオープンワールドレースゲームです。
画質【エクストリーム】と【高】でチェックしました。
↓タブを切り替えて結果を見てください↓
Core i7がぶっちぎりに良いスコアでした。
画質【高】だとGPUの負荷が少なく、Core i7の5%ほど低いスコアです。
価格差を考慮すると、許せるパフォーマンスだと思います。
【重量級】サイバーパンク 2077
- 【画質】ウルトラ/RTウルトラ
- 【DLSS】ON
ゲーム内のベンチマークモードで計測
こちらもレイトレーシングとDLSSに対応した有名な激重ゲームです。
レイトレーシングOFFの「ウルトラ画質」と、ONの「RTウルトラ画質」をチェックしました。
レイトレーシングOFFならフルHD/WQHDで快適に遊べる性能です。
個人的にこのゲームはレイトレーシングの効果がイマイチ分かりにくいと思います。
レイトレーシングを使わなくても十分キレイなので、RTX 3070ならこの設定がおすすめ。
誤差レベルです
【重量級】アサシンクリード・ヴァルハラ
- 【画質】高/最高
ゲーム内のベンチマークモードで計測
このゲームはレイトレーシングとDLSSに対応していません。
レイトレ/DLSSに対応していない超重いゲームは、大体このくらいで遊べるという目安にしてください。
画質プリセット【最高】と【高】で計測しました。
最高設定ならフルHD/WQHDで快適。4Kだと少しカクつくシーンがあります。
微妙にCore i7の方が良いスコアです。
ゲームプレイに支障が出るほどの差ではありません。
【重量級】Marvel’s Spider-Man Remastered
- 【画質】非常に高い
- 【DLSS】ON
固定ルートを30秒間飛び回った平均フレームレートを計測
このゲームもレイトレーシングとDLSSに対応した重めのタイトルです。
画質「非常に高い」で、レイトレーシングON/OFFを計測しました。
4Kまで快適に遊べるフレームレートです。
フルHDとWQHDに差があまり出ません。
このゲームはレイトレーシングの効果が良くわかるので、なるべくレイトレONで遊ぶことを推奨。
こちらも微妙にCore i7の方が良いスコアですが、体感できるほどの差はありません
クリエイティブ性能チェック
動画編集と写真編集の能力をチェックしました。
Premiere Pro
4Kで撮影した10分間の動画を編集して、フルHDと4Kにエンコードした時の処理時間です。
レンダラーは「GPUアクセラレーション(CUDA)」を使用。
※ソフトウェアレンダリング(CPUエンコード)にすると、Ryzen 7 5700Xで34分、Core i7-12700だと25分もかかります
どのCPUとの組み合わせでも、10分の実時間より早くエンコードができるので快適です。
Ryzen 7 5700Xの惨敗。
CPUパワーをある程度使う処理だと、差がハッキリ出ます。
とはいえ、個人で使う分にはRyzen 7でも十分なスピードだと思います。
RAW現像
Lightroom Classicを使って有効画素数2010万(SONY RX10M4)のRAWデータ100枚を現像しました。
サクサク処理できます。
書き出し条件はこちらです↓
画像形式 | JPEG |
画質 | 100% |
解像度 | 350px/インチ |
Ryzen 7でも十分なパフォーマンス。
5枚程度の現像ならどのCPUでも瞬きしている間に処理が終わります。
Ryzen 7 5700X+RTX 3070の構成まとめ
まとめると、こんな感じです↓
RTX 3070まとめ
- フルHD〜WQHD>問題なし
- 4K>競技製の低いゲームならOK
- レイトレーシング>ゲームによって画質の調整が必要
Ryzen 7 5700Xまとめ
- Core i7-12700より5%落ちの性能
- 微妙、要検討
GPUのRTX 3070については、競技性の高いFPSゲームをやり込みたい人に最適。
オープンワールド系のアクションゲームなら、4Kでも設定次第で60fps以上をキープできる性能です。
CPUのRyzen 7 5700Xについては、総合的にCore i7-12700より5%落ちのパフォーマンスでした。
RTX 3080やRTX 3060Tiと組み合わせた時はここまでの差は出なかったので、ボトルネックが発生しやすい組み合わせなのかもしれません。
Zen2世代の旧CPUからアップグレードするならおすすめ。
あくまでRTX 3070と組み合わる場合ですが、新規でPCを買う人や、自作する人はコストに見合う投資かよ〜く検討してください。
BTOパソコンだと「Core i7-12700+RTX 3070モデル」のセール品と価格はほとんど変わりません。
個人的には微妙だと思います。
以上、参考になれば幸いです。
おすすめゲーミングPC 早見表
スマホはスクロールできます→
価格 | GPU | CPU | メモリ | ストレージ | メーカー |
---|---|---|---|---|---|
112800円 | RTX 3050 | Core i5-12400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
135800円 | RTX 3060 | Core i5-12400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
149800円 | RTX 3060Ti | Core i5-12400 | 16GB | 500GB | PC工房 |
150660円 | RTX 3060 | Core i7-12700F | 16GB | 1TB | HP OMEN |
158800円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
162800円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 512GB | フロンティア |
189800円 セットモデル | RTX 3060 | Core i5-12400F | 16GB | 500GB (爆速) | マウス |
199800円 | RTX 3070 | Core i7-12700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
205460円 | RTX 3060Ti | Core i5-13400F | 16GB | 1TB (爆速) | サイコム |
225060円 | RTX 3070 | Core i7-12700K | 16GB | 1TB (爆速) | HP OMEN |
236800円 | RTX 4070Ti | Ryzen 7 5700X | 32GB | 1TB | フロンティア |
239800円 | RTX 4070Ti | Ryzen 7 5700X | 32GB | 1TB | ストーム |
249800円 セットモデル | RTX 3070 | Core i7-12700F | 16GB | 500GB (爆速) | マウス |
255800円 | RTX 4070Ti | Core i7-12700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
272800円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
279800円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700F | 32GB | 1TB | フロンティア |
282000円 | RTX 4070Ti | Core i7-13700 | 32GB | 1TB | ストーム |